老老介護の問題点や解決策は?
このところニュースなどで時々耳にする「老老介護」という言葉。
この意味をご存知でしょうか?
日本は着実に高齢化社会が進み、「超高齢化社会」になると言われていますよね。
私はまだ若いから関係ないと思う人や、年を取っていても介護は受けないと考える人もいるかもしれませんが、老老介護は決して他人事ではないのです。
誰もが直面する可能性があるこの「老老介護」について、今日は問題点などを交えてお話しましょう。
目次
老老介護とは
老老介護と聞いて、どういったことを思い浮かべるでしょうか。
文字通り、老人が老人を介護するということですよね。
高齢者の夫婦で、どちらかが介護が必要な状態になって、そうでない側やその兄弟が介護をする、これが老老介護と言われています。
さらに、最近多くなってきているのが、介護が必要な高齢者の子供も高齢になっていて、親の介護をしているケースです。
日本は平均寿命がとても長くなってきていますよね。
厚生労働省が2018年に公表したデータ(※)によると、日本の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.26歳。世界のランキングでは、男性は3位(1位香港・2位スイス)、女性は第2位(1位香港)となっています。
このように、世界的に見ても平均寿命の年齢が高いため、老老介護が起こりやすいのは仕方がない現実と言えるでしょう。
そして、長くなってきている平均寿命に対し、日常生活の中で介護を必要とせずにいられる健康寿命がどれくらいかも、老老介護ではポイントになります。
平成22年の平均寿命と健康寿命による厚生労働省のデータ(※)によると、平均寿命と健康寿命の差が、男性では9.13年、女性では12.68年となっています。
つまり、男性の場合は死去するまでの約9年、女性は約13年、介護やサポートが必要な期間があるということになります。
(※)出典:厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会・次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会 「健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料」p25
あくまでも平均の数値を見ての話ですが、男性であれば、72歳から81歳で亡くなるまで(9年間)、女性は74歳から87歳で亡くなるまで(13年間)介護が必要になることに。
90歳近い高齢者の場合、その子供が65歳以上になっている可能性は非常に高いですよね。
つまり、100歳近い高齢者の介護を、70歳以上の高齢者がおこなっていることも珍しくないと考えられます。
老老介護はどんな問題点がある?
高齢者が高齢者の介護をする老老介護は、当たり前とか仕方がないという人もいますが、実は大きな問題を抱えています。
介護というのは、日々の生活の中で支障があることに手を貸すのですが、お互いに高齢である場合には、介護をする側にかなり負担がかかります。
しかも、介護は毎日続き、状態が悪くなればなるほど介護にかかる時間も長くなります。
老老介護の場合に限ったことではありませんが、毎日心身ともに負担が大きい介護は、共倒れの危険性が高いのです。
「配偶者が介護をしていたけれど、負担がかかって倒れてしまった」となると、次はその家族に負担がかかることになります。
しかも、今度は介護しなければならない人が増えている…それをまた高齢になった子供が介護をして疲れてしまう。
こういった悪循環がいつまでも終わらない状態になって、最悪のケースでは介護疲れで相手の命を奪ってしまうという悲しい事件もありましたね。
また、高齢者夫婦のみで生活している場合、共倒れになった事実を周りが知らずに、久しぶりに訪れた家族が発見するまでわからなかったというケースもあります。
老老介護は、家族だけで乗り越えようとすればするほど、問題解決が難しくなってしまうのです。
老老介護の解決策
では、この老老介護の解決策はあるのでしょうか。
まずは老老介護にならないようにする、介護が必要な状態になる前に予防をするといったことが大切です。
最近では自治体の多くが「介護予防」サービスを実施しています。
適度に体を動かし、周りとの交流を持つという点で、こうしたサービスはものすごく有効です。
また、食生活にも気を配り、健康な生活を心がけ健康寿命を延ばしたいところです。
ただ、どんなに気を配っていても、介護が必要な状態になってしまうこともありますよね。
老老介護の場合には「夫婦の問題は夫婦で責任を持たなくてはならない」と、周りを頼らないことで状況が悪化してしまうことが多いです。
ですから、老老介護をしなくてはならない状況に陥った時は、周りの力を借りることが一番の解決策となります。
そして、家族のサポートも忘れてはいけません。
たとえ一緒に住んでいなくても、親が歳を取ってきていることはわかりますから、家族は定期的に顔を見せて様子を見ることをお勧めします。
夫婦の場合、毎日顔を合わせていると、小さな変化に気づくことが少ないですが、久しぶりに顔を見る家族は、ちょっとした変化がわかるものです。
遠方で何度も訪問できない時には、こまめに電話などで連絡を取りましょう。
何かおかしいなと思ったら、ご近所の方に時々声をかけてもらうようお願いするのもいいでしょう。
もちろんお願いするだけでなく、定期的に様子を聞くのも、安否確認ができるので安心ですよね。
また、両親が住んでいる地域に、どんな福祉サービスやサポートがあるのか、調べておくことも重要です。
老老介護は家族が敏感に状況を把握して、早めの対策を取ることで、負担を軽くすることができると言えます。
まとめ
高齢化社会がまだまだ進む中、老老介護は誰にでも起こりうる問題です。
「まだ元気だから」と簡単に考えていると、大変な状況になった時に慌ててしまうだけでなく、誰にも相談できずに困り果ててしまうかもしれません。
もちろん介護を受けずに元気で生活できていければ、それはうれしいことですが、もしもの時に備えて、できる準備をしておくのが無難です。
いろいろな福祉サービスやサポートを活用して、老老介護に陥らない工夫を皆で考えていきたいものですね。