バリアフリー住宅で要となる階段の寸法とは?
高齢の方や体が不自由な方がいるご家庭であれば、バリアフリーにするのが鉄則です。
また、今は若くて健康な方でも、将来的には階段の上り下りが辛くなるかもしれないので、バリアフリーを踏まえた階段設計をする必要があるでしょう。
しかし、敷地面積が狭い場合は2階建ての住まいにする必要があるかもしれません。
当記事では、バリアフリー住宅における階段の寸法や設計についてご紹介していくので、家を建てる時やリフォームする際の参考にしてください。
目次
バリアフリー住宅とは?
バリアフリー住宅とは、高齢者の方や障害がある方、体が不自由な方が快適かつ安全に過ごせる家のことです。
「快適」「安全」というのは年齢とともに変わっていきますが、家は年齢を重ねてからもずっと住むものですから、何歳であっても老後を見据えた建築設計をすることが重要になります。
バリアフリー住宅は、年齢に関係なく「快適で安全に暮らせる」という役割を担っている住宅なのです。
バリアフリー住宅は階段がポイント!
バリアフリー住宅では、「浴室の床は滑りづらい素材を選ぶ」「廊下に手すりを設置する」「車椅子を利用するようになっても使いやすい高さのキッチン・洗面台・トイレにする」など、さまざまな工夫が凝らされています。
建物全体に対しても、できるだけ段差をなくすなど、あらゆる点で安全に暮らせるための設計を行ないますが、もっとも重要なのは階段です。
最近は平屋が人気ですが、それでもまだまだ2階建て住宅が多いですし、土地代が高額な都心部や駅近であれば敷地面積も限られてしまうため、必然的に2階建ての建物となってしまいます。
階段の上り下りは毎日するものですから、これがスムーズにできなくなってしまうと日常生活を送るのも不便になります。
だからこそ、バリアフリー住宅ではどんな人でも上り下りしやすい階段を作ることが重要となってくるのです。
バリアフリーに適した階段の寸法について
一般住宅は2階建てがスタンダードなので、バリアフリー住宅であっても階段はどうしても必要になります。
ここで重要となるのが寸法です。
廊下や浴室がバリアフリーでも、階段が普通の住宅と同じでは住みやすさは得られません。
ここでは、バリアフリーに適した階段の寸法をご紹介するので、しっかりチェックしておきましょう。
階段の寸法には法定寸法がある
階段には法定寸法があるため、たとえ注文住宅であっても自由に決めて良いわけではありません。
デザインなどは自由ですが、寸法に関しては建築基準法で定められている基準を満たす必要があります。
【建築基準法施行令 第二章 三節 第二十三条】
階段の種別 | 階段及び踊り場の幅 | 蹴上の寸法 | 踏面の寸法 |
小学校における児童用のもの | 140cm以上 | 16cm以下 | 26cm以上 |
中学校、高校もしくは中等教育学校における生徒用のもの又は物品販売業を営む店舗で床面積の合計が1500平方メートル 劇場・映画館・演芸場・観覧場など |
140cm以上 | 16cm以下 | 26cm以上 |
直上階の居室の床面積の合計が二百平方メートルを超える地上階又は居室の床面積の合計が百平方メートルを超える地階若しくは地下工作物内におけるもの | 120cm以上 | 20cm以下 | 24cm以上 |
住宅 | 75cm以上 | 22cm以下 (15cm以上) |
21cm以上 |
この寸法で計算すると、住宅の階段の勾配は56.8度となり、階段よりはしごに近いものになってしまいます。
とは言え、これらの寸法はあくまでも最低基準ですから、法定寸法を満たしていれば緩やかな勾配でも問題ありません。
高齢になっても上りやすい階段の寸法は?
人それぞれ上り下りしやすい階段は異なりますが、高齢者が上りやすい階段の寸法は「蹴上×2+踏面=60cm」と言われています。
上りやすい階段というのは、蹴上(階段の高さ)と踏面(階段を上り下りするときに踏む面)のバランスで決まるとされています。
蹴上が2倍になった場合、踏面は日本人の標準的な歩幅(60cm)にするとバランスが整うので、「蹴上×2+踏面=60cm」の計算式になります。
もちろん、この計算式は目安ですから、後は住む人の足のサイズや長さなどを考慮して寸法を決めるのがベストです。
寸法を気にせずバリアフリーの階段を作るには
寸法を高齢者向けにしてしまうと、踏面の幅を広く取ったり、高さを低くしたりしないといけなくなります。
十分な広さのある家であれば階段の面積が大きくても問題ないかもしれません。
しかし、都心部などは宅地面積が広くないこともあるので、階段の面積が他の間取りを圧迫してしまうのは困ることもあるでしょう。
「バリアフリーに適した階段にしたい、でも寸法は一般住宅と同じにしたい」という場合は他の方法を取り入れて安全な階段にすることができます。
- 手すりをつける
- 滑り止め防止のマットを敷く
- 踊り場を設ける
手すりを付ければ、ある程度は安全に上り下りできますし、滑り止め防止のマットを敷けば転落の抑止効果が得られます。
また、踊り場があれば、上り下りの途中で一休みできますし、万が一転倒しても転げ落ちる段数を少なくできるので、いろいろと工夫してみましょう。
まとめ│「住宅設計」は何歳になっても住みやすいことを重視しよう
持ち家は何十年も住む場所ですし、人によっては終の住処ともなり得る場所です。
住み始めは若いとしても、年齢を重ねるごとに家の住みやすさというのは変化するので、建築設計の段階から上り下りしやすい寸法にしておくことが重要です。
とは言え、デザインや敷地の面積上、どうしてもバリアフリーに適した寸法が厳しいこともあるかもしれません。
階段だけの問題であれば、階段昇降機を使って問題を解決できることもあるので、諸事情で十分な寸法を採れないようであればぜひ一度当社にご相談ください。
→シティリフトかわさきの車椅子用の階段昇降機についてはこちら