段差の「昇る」「降りる」を車椅子で安全に行う介助方法を解説
車椅子の操作をした経験のない方が、急に段差の昇降を行うのは非常に危険です。
そこで、本記事では初心者でもすぐに実践できる安全な段差の介助方法を解説していきます。
また、車椅子の基本的な操作方法や注意点なども載せていますので、併せてご参照ください。
目次
車椅子の基本操作|安全な介助のための知識を得よう
車椅子で安全に段差の昇り降りを行うためには、基本的な操作方法やパーツの使用方法を理解しておく必要があります。
部品
・ハンドルグリップ…介助者が握る部分
・ティッピングレバー…座面の下にあり、並行して伸びている棒
・フットサポート…要介助者が足を乗せる部分
基本操作
想像以上にゆっくりと押すのが基本です。
また、動作ごとに「次は何をするのか」を座っている方に伝えましょう。
車椅子で段差を昇る手順
車椅子で段差を昇る操作は、以下の手順で行います。
①座っている方に何をするのか伝える
②車椅子を斜めに傾ける
③前タイヤのみ段差にのせる
④後ろタイヤも段差へのせる
各手順の操作方法を詳しく見ていきましょう。
①階段を上がる前に声かけを行う
まずは、座っている方へ声かけを行いましょう。
「段差を昇るので、少し揺れるかもしれません」「後ろに傾きますよ」のように、一言添えてあげると、心構えができます。
座っている方は、車椅子を操作する方にすべてをお任せしなければなりません。
ですから、「どう声をかけたら安心してもらえるのか」を気にかけるのが大切です。
②ティッピングレバーを踏み込み車椅子を傾ける
車椅子を段差の近くまで移動させます。
ハンドルグリップを自分の方向へ引きながら下へと押し込みましょう。
その際に、ティッピングレバーに足をかけて踏み込むと、車椅子の前のタイヤが簡単に浮きます。
力任せの介助は座っている方が不安になるのであまり推奨はできません。
また、車椅子を操作する方の腰を痛める要因にもなります。
③前のタイヤを段差の上に乗せる
前のタイヤが浮き上がったら、状態を保ちつつゆっくりと車椅子を前進させましょう。
後ろのタイヤが段差の角にぶつかったタイミングで、前のタイヤをゆっくりと下ろします。
前のタイヤを下ろす際にも、ティッピングレバーを活用しましょう。
足をかけておくと、勢いよく前のタイヤが落ちるのを防げます。
④後ろのタイヤを滑らせるように持ち上げる
後ろのタイヤを段差の上に乗り上げる際は、「持ち上げる」のではなく「段差に滑らせるようにする」のがコツです。
ハンドグリップをしっかりと握り、押し込むようにして段差にタイヤを這わせます。
すると、あまり力をいれなくても後ろのタイヤが上がりますし、座っている方も大きな揺れを感じずに移動が可能です。
車椅子で段差を降りる手順
車椅子で段差を降りる際は、以下の手順で行います。
①車椅子の向きを変える
②後ろのタイヤからゆっくりと降ろす
③前のタイヤを浮かせる
④前のタイヤをゆっくりと降ろす
昇るときよりも、降りるときの方が難しいです。
各手順の操作方法を確認し、安全に介助を行いましょう。
①車椅子の向きを進行方向と反対にする
進行方向が下りの場合は、基本的に車椅子を後ろ向きにして操作を行います。
進む方向と反対にするのは、座っている方の転落を防止するためです。
下り方向に進む場合、車椅子の座面はおのずと進行方向に傾きます。
その際に、座っている方が車椅子からズリ落ちてしまう危険があるのです。
ゆるやかな坂道や、低い段差であっても必ず注意しましょう。
②後ろのタイヤからゆっくりと降ろす
ハンドルグリップをしっかりと握り、車椅子をゆっくりとバックさせます。
その際、後ろのタイヤを浮かせる必要はありません。
段差の角に沿わせるようにして後ろのタイヤを動かすのがポイントです。
ある程度バックすると、重みの比重が後方にくるため勢いよく下ろしてしまいそうになります。
そのような場合は、ブレーキの力を借りましょう。
ブレーキは後ろのタイヤに作用するため、細かくブレーキをかけるとゆっくり下ろせます。
③前のタイヤを浮かせながらゆっくりと後退
後ろのタイヤが下の段へ降りたら、前のタイヤをゆっくりと浮かせましょう。
前のタイヤを浮かせられないときは、ティッピングレバーに足をかけて踏み込むと簡単に持ち上がります。
前のタイヤを浮かせるとき、真剣になりすぎて座っている方への声かけを忘れてしまう方がいらっしゃいます。
座っている方からすると、車椅子が急に持ち上がるのは想像以上に怖いものです。
「ちょっと傾きますよ」のような言葉でもよいので、声をかけてあげましょう。
④前のタイヤを静かに降ろす
ティッピングレバーを足で押し込み、前のタイヤをゆっくりと下の段に下ろします。
同時にブレーキを併用するのも効果的です。
車椅子を操作する方よりも座っている方の体格がよい場合は、体や太ももで背もたれを支える方法もあります。
前のタイヤを勢いよく下ろしてしまうと高齢者の場合は圧迫骨折につながるため注意が必要です。
注意点|無理なときはまわりの人の手を借りよう!
どうしても段差の昇り降りが1人で難しい場合は、まわりに助けを求めましょう。
遠慮してしまい1人で無理な操作を行うのはとても危険です。
最悪の場合、自分も車椅子に乗っている方もけがをしてしまいます。
また、若い方や男性の介護者によく見られるのが、力任せな操作方法です。
悪い操作方法ではありませんが、力任せな介助に恐怖心を持ってしまう方もいらっしゃいます。
できる限り、本記事で解説した操作方法で段差の昇り降りを行うようにしましょう。
まとめ
車椅子の操作は、手順に沿って安全に行うのが大切です。
そのためには基本の操作方法を知っておく必要があります。
また、「ブレーキ」「ティッピングレバー」などの活用も有効です。
車椅子に乗っている方が、けがなく安心して移動できるためにも、基本的な知識は学んでおいて損はありません。
