ノーマライゼーションは何を意味する?バリアフリーやユニバーサルデザインとの違いを簡単に解説!
ノーマライゼーションの日本語訳は「標準化」や「正常化」、「常態化」です。
普通と同じに扱うという意味が伝わってくる日本語訳です。
この言葉が生まれたということは、以前は普通ではない扱いがされていたということになります。
その対象は高齢者や障がい者でした。
彼らにも普通の人と同じように暮らす権利があるはずだという考えが根底にあります。
本記事では考え方や8つの原理、誕生の歴史的経緯、バリアフリーやユニバーサルデザインといった似た意味の言葉との違いなどについてわかりやすく解説します。
目次
ノーマライゼーションとは?
デジタル大辞泉によれば、「高齢者や障がい者などを施設に隔離せず、健常者と一緒に助け合いながら暮らしていくのが正常な社会のありかただとする考え」のことです。
日本では厚生労働省が障がい者の自立や社会参加の支援策を実施する際の基礎理念となっています。
社会的弱者とされる人々も健常者と同等の存在ととらえ、彼らの生活や権利を保障するべきだとする考え方につながっています。
8つの原理
概念を形にしたスウェーデンのベンクト=ニィリエは8つの原理を提示しています。
① 1 日のノーマルなリズム
② 1 週間のノーマルなリズム
③ 1 年のノーマルなリズム
④ライフサイクルにおけるノーマルな発達的経験
⑤ノーマルな個人の尊厳と自己決定権
⑥その文化におけるノーマルな両性の形態すなわちセクシャリティと結婚の保障
⑦その社会におけるノーマルな経済的水準とそれを得る権利
⑧その地城におけるノーマルな環境水準のことを指す
出典:厚生労働省
この8つの原理を満たすことが、障がい者が一般市民と同じ生活を送れているかを判断する指標となります。
ノーマライゼーションの誕生
この考え方は20世紀半ばに北欧で生まれたものです。
それから半世紀近くの歳月を経て、考え方が徐々に深められていきました。
考え方が誕生したのは北欧のデンマークです。
誕生に深くかかわった人物はニルス・エリク・バンク=ミケルセンです。
彼はデンマーク社会省で知的障がい者施設の担当をしていましたが、施設環境が劣悪であることを問題だと考えます。
施設にいる障がい者たちは自由に外に出られず、生活のほとんどを集団単位で管理されていたからです。
彼は障がい者たちの親とともに生活環境改善に取り組みました。
そして制定されたのが「1959年法」です。
この法律に、ノーマライゼーションという言葉が盛り込まれました。
この言葉には、障がい者であっても一人の市民として生活や権利が保障されている社会になってほしいという知的障がい者の親たちの切実な願いが込められていました。
デンマークで起きた動きは1960年代に北欧全体に広まり発展します。
そして、先ほど紹介した8つの原理をまとめたベンクト=ニィリエが考え方を体系化します。
2006年、国連で「障害者権利条約」が採択されました。
条約の内容は障がい者の人権及び基本的自由の享有を確認し、無差別、政治的権利や教育・健康・労働・雇用の権利、社会的な権利、文化的な生活、スポーツへの参加など幅広いものとなっています。
似た言葉との違い
似た言葉にバリアフリーやユニバーサルデザインがあります。
それぞれとの違いを明らかにしてみましょう。
バリアーフリーとの違い
バリアフリーは、もともと建築の世界で用いられていた用語です。
文字通りバリア(障壁)を取り除くことを意味しますが、現在は制度や文化、情報面でも用いられるようになりました。
物理的に障壁を取り除くバリアフリーを行えば、健常者と障がい者との格差をなくすことにつながるため、「普通に過ごす」ことが実現しやすくなるでしょう。
ユニバーサルデザインとの違い
ユニバーサルデザインは、もともと誰でも使いやすいように製品や建築物をデザインするという考え方です。
障がい者との格差をなくすという発想ではなく、最初から誰でも使えるようにするという考え方です。
まとめ
今回は言葉の意味や8つの原理、誕生の歴史や似た言葉との違いについて解説しました。
この考え方は日本でも取り組みが進んでいます。
障碍者雇用促進法や高齢者の雇用促進、バリアフリーの導入など障がい者が健常者と同じように生活できるよう、基盤が整備されつつあるのです。
とはいっても、まだまだ募集・雇用の面での差別や不当な賃金の提示、障がい者であることを理由とした差別が発生してる現状は否めません。
高齢者や障がい者に直接かかわる人はもちろんのこと、社会全体でそうした人たちへの理解を深め、「普通の人と同じ生活」が営めるよう仕組みを整える必要があるのではないでしょうか。
→シティリフトかわさきの階段昇降機についてはこちら
→シティリフトかわさきの車椅子用の階段昇降機についてはこちら