階段の角度はどれくらいがよい?階段の理想的な寸法や安心できるポイントについて解説
限られた敷地を有効に活用して家を建てたい場合は、2階建ての家が望ましいでしょう。
2階建ての家には当然、階段が必要になります。
しかし、せっかく階段をつくるなら、安全で、おしゃれで、しかも、老後になっても楽に登れるような階段にしたいものです。
あるいは、階段の下や踊り場のスペースを有効活用できる方法はないものでしょうか。
この記事では、家の階段の最適な寸法や、おしゃれな階段の種類、スペースの活用などについて解説します。
目次
階段に関する専門用語
階段には独特な専門用語が使われています。
よく使われる専門用語の解説をしましょう。
1.蹴上げ(けあげ)
階段の1段の高さのことです。
蹴上げの高さが大きくなるほど階段の段数は少なくなり、低くなるほど段数は多くなります。
2.踏面(ふみずら)
階段の足で踏む面の奥行きのことです。
踏面が広くなるほど1段ずつ踏みやすい階段になり、狭くなるほどで登りづらくなり、足幅が狭いので踏み外すおそれもあります。
3.踊り場(おどりば)
階段の途中で上り下りする方向を変えたり、休んだりできる広いスペースのことです。
足を踏み外した場合でも、踊り場があれば下まで転げ落ちるのを防ぐ役目もあります。
階段の基準
モデルハウスを見学すると、空間インテリアともいうべきおしゃれな階段を目にすることがあります。
階段は住まいづくりのひとつのポイントですが、建築基準法によってサイズや角度が決まっているのをご存知でしょうか。
建築基準法によると、一般の家の階段は以下のように定められています。
・蹴上23cm以下
・踏面15cm以上
・階段と踊り場の幅75cm以上
しかし、この寸法で階段の角度を計算すれば、約57度と、かなり急な階段です。
また、日本人の平均の足サイズは24.3cmですので、踏面が15cmだと足の3分2程度しか踏めず、つま先で階段を上がるような感じになってしまうでしょう。
理想的な階段の寸法
急な角度の階段だと、足を踏み外したり2階から落ちてしまったりして、事故につながるおそれがあります。
階段は、できるだけ緩やかな角度で、できるだけ広い幅の方が安全で快適でしょう。
建築基準法で規定された寸法では、上り下りがししにくいので、踏面が230前後、蹴上げが210前後、角度が45度位のものが実際には多いようです。
階段の角度が緩やかになればなるほど登りやすくはなりますが、階段自体の長さが伸びてしまうのでその分部屋のスペースを食ってしまいます。
安心できる階段のポイント
特に高齢者や小さな子供がいる家庭でも、安全で安心できる階段を設置したいものです。
安心して使用できる階段のポイントとしては、どういった点があるのでしょうか。
1.角度
1段の踏面を広くして傾斜を緩やかにすれば、上り下りしやすいというメリットがあります。
しかし、そうすると蹴上が小さくなってしまうので、段数の方は増えてしまいます。
例えば、階段下に収納やトイレを作ろうとした場合には、角度が緩やかな階段だと、かなりの段数があるものでなければ、十分な高さを保てないでしょう。
また段数が多くなれば、全長も長くなり、全長が長くなれば階段部分の占める面積も大きくなってしまいます。
そのため、2階の廊下部分や居住スペースの間取りが十分に取れなかったり、逆に2階のホール部分に無駄なスペースが出来てしまったりする可能性もあるでしょう。
2.踊り場
一直線の階段でも、踊り場で上り下りの角度が変わる階段でも、休憩ができる場所として大切な役目があります。
踊り場の面積を広くして、中2階のようにするのもよいでしょう。
3.手すり
安全性のカギとなる重要なものが手すりです。
人は年を取ると階段の上り下りが大変になります。
将来を見越して、元気に動けるうちから体をしっかり支えられる手すりを付けておくことをおすすめします。
4.滑り止め
階段の上り下りの際、滑らないようにマットやシートになった滑り止めを貼り付けておくと安全です。
滑り止めは、ホームセンターなどで簡単に入手できます。
シンプルなものからデザイン性の高いものまで種類もさまざまです。
張り替えが簡単にできるのかどうかがポイントになります。
5.階段の設置場所
何かあったときに家族が気付きやすいリビングに階段がある方がよいでしょう。
玄関ホールに階段がある場合は、万が一のことがあっても気付かれないことがあります。
特に子供が小さい家庭では、リビングに階段がある方が、親の目が届きやすいので安心です。
おしゃれな階段をご紹介
階段は室内インテリアともいえる大切な部分です。
おしゃれな階段の例をご紹介しましょう。
1.スケルトン階段
蹴上が無い階段のことです。
視線を遮ることがないので、室内がスマートで開放的なイメージになります。
手すりは黒い金属製で、蹴上は木目など、色・デザインもスタイリッシュなものがあります。
2.無垢材(むくざい)の階段
階段の素材を無垢のパイン材にすると、自然な風合いが魅力的な階段になります。
無垢材を床材として使っている家なら、同じ無垢材を使った階段だとグレードがアップした感じがします。
まとめ
階段は、基本的には建築基準法の基準を守って、違法建築とならないように取り付けなければなりません。
同時に、長い期間に渡って使用することを前提に、安全で使いやすく、上り下りに負担のない角度にする必要があります。
そのうえで、階段下や踊り場のスペースの有効活用をはかるのもよいでしょう。
さらに、家の内装にマッチしたデザインの階段の取り付けを検討するのも楽しいのではないでしょうか。